あの日町を歩いてたら声をかけられた。 靴みがきの箱を持ったガキで「靴みがきOK?」って言うんです。 「お願い」って俺は断ったけどダン・フォースはつい「イエス」っていっちまった。 そして俺はビールを買いに行った。 その間に悲劇が起きた。 靴みがきの箱には爆弾が仕掛けられててそいつは爆発音と悲鳴が一緒になって。 バラバラになった身体が俺にへばりついた…俺は必死でそいつをひっぺがそうとしたんだ。 それから慌ててバラバラになった手足をひろい集め奴の身体にくっつけようとしたけど内臓がはみ出して…。 奴は泣きながら言った、「家に帰りたい…家に帰りたいよ、家に帰ってあの車を運転したいよ」って… 俺はそのまわりを這いずりまわって奴のちぎれた脚を捜した。 でも見つからなかった、その時の光景が頭に焼き付いて。 7年たった今も毎晩夢にみる。 目を覚ますと自分がどこにいるのか、誰かもわからなくなる。 そんなことが丸一日、一週間も続く…追い払えないよ。 助けてください大佐。 俺はどうすればいいんですか…教えてください…」
「何も終わっちゃいません、何も! 俺にとってあの戦争は今でも続いてる。 あなたに無理やり連れていかれ勝つために必死で戦った、だが結局は勝てなかった。 そしてやっと帰国したら空港ではデモ隊が俺を待ち受け罵り声をあびせてきた。 赤ん坊殺しだ、大量殺人者だってねえ。 あいつらにそういう資格があるのか?誰ひとり戦争が何かも知らないで俺をせめる資格があんのか? 俺はずっと世間のやっかい者だ。 戦場じゃ仁義があった、お互い助け合って生きてきた。 だがここでは違う。 戦場ではヘリを飛ばし、戦車を走らせ100万ドルの武器を任された。 それがここでは駐車係の仕事すらないんだ! 惨めすぎる…こんな、こんなことって…みんなどこへ行った?畜生…どこへ…空軍にも友達が大勢いた…。 そう、大勢戦友がいた。 戦場には頼れる仲間が、親友がいた…ここには誰もいない。 ダン・フォースを覚えていますか? 賭け事の好きな奴でみょうにウマがあってよく話をしたんです。 帰ったら一緒にラスベガスに行こう、そんときは奴の車でって約束したんです。 真っ赤な58年型のスポーツカーが奴の自慢だった 二人でビンビンにぶっ飛ばそうって…。
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